「保活」の渦に飛び込む前に… 待機児童問題と保育園の予習をしておこう

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こんにちは。ちゃはちです。

共働きをするとなれば、子どもをいずれ保育園に預ける必要がでてきます。

まだ先の話のように感じてしまいますが、タカをくくっているとあっという間にその時が来てしまうだろうことは、年々増してくる時の経過速度から考えれば想像に難くありません。つい3か月前に「あけましておめでとう」っていっていた確信があります。

それに「子供を保育園に入れる」には、どうもある程度計画的というか、戦略的というか、そんな考えが必要になってきそうです。

ですので今回は子どもの保育についてちょっと予習してみようと思います。

待機児童問題の現状

「待機児童」という言葉がよく聞かれるようになって久しいです。少子化対策のなかでも解決すべき大きな問題として、メディアでも頻繁にとりあげられていますし、選挙の度に公約として「待機児童ゼロ!」なんて威勢のいい文句を耳にします。

これまで子供がいなかった僕にしてみれば、直接自分たちの問題として意識を強く持っていた訳ではありません。

それでも子供を持つことを躊躇する理由の1つとしてボンヤリと考えていたことも事実です。

「子供ができたって保育園に預けられないんでしょ?なんか大変そう」

こう考える人はきっと多いと思います。

とは言え、これだけ「待機児童ゼロ!待機児童ゼロ!」と皆んなで唱えてたんだから流石に少しはましになってきたんじゃないの、と思い調べて見ました。

1.待機児童は直近でも増えている

下記のグラフは厚生労働省の発表した「保育所等関連状況取りまとめ」資料です。

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11907000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Hoikuka/0000098603_2.pdf

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こちらによると待機児童数は

平成26年・・・21,371人

平成27年・・・23,167人

平成28年・・・23,553人

増えてるじゃんか!

平成22年から毎年ゆるやかに減少していた待機児童数ですが、平成27年から増加に転じています。

「なんだよ。口ばっかりで何にもやってないんじゃないの?」

と自分も口先番長であることをうっかり忘れて文句を言いたくなるところでしたが、保育所数の推移を見てみると…

2.保育所の数も増えている

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あれ、ずいぶん増えているように見えますね。聞きなれない名前の施設が増加しているようですが…。

国も待機児童問題の解決を重要事項として解決策を講じており平成25年4月に「待機児童解消加速化プラン」を策定。平成27年4月から「子供・子育て支援新制度」をスタートさせました。

制度の詳細は後述しますが、施策により保育施設は増加しており定員数も増加しています。それでも待機児童数が減らないのは、保育を必要としている児童の増加数が、施設の増加を上回っているということですかね。

そしてこれからも女性の社会進出や核家族化の進行により、要保育児童の数は増えていくと考えられ、国も当初40万人としていた保育の受け皿の目標を50万人に拡大、さらに待機児童の解消を2019年度としていた当初予定を前倒しし、2017年度中としています。

まあそんなに簡単にはいかないような気がしますが…。2017年度なんて(40歳の時間感覚でいうと)明後日ですよ。

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11907000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Hoikuka/0000098605_2.pdf

3.待機児童は都市部に集中している

次に地域的な差について。こちらも「保育所等関連状況取りまとめ」資料から。

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はい。日本の待機児童の約74%が都市部の児童です。露骨に偏ってますね。核家族化がより進んでいる都市部に集中するのも自然なことかもしれません。

さらに言えば同じ都道府県でも住んでいる地域によってもバラつきがありますので、自分の住んでいる地域がどうなのかが非常に気になります。

調べてみると僕たちの住んでいる地域は見事に「待機児童が200人以上の市町村」の上位ににランクインしていました!やったぜ!!(良くない)

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11907000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Hoikuka/0000098606_2.pdf

もっと言えば通わせるのに都合のいいエリアにどれだけ施設があるかということが最終的には大事ですから、こればっかりは祈るしかないのでしょうか…。

4.低年齢児がほとんどを占める

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こちらも「保育所等関連状況取りまとめ」資料からです。

年齢別ではなんと0~2歳児が待機児童全体の86.8%とほとんどを占めています。しかも1,2歳児だけでも全体の71.1%となっています。

そもそも低年齢児の保育は3歳以上児に比べて人手を要します。我が家の近隣保育園の定員を見ても年齢が大きくなるにつれて定員が増えてます。

0才の待機児童数が1,2歳より少ないのは育休取得の影響でしょうか。育休が終わるタイミングで一気に競争率が上がります。

でも本当は0才の時点で保育所に預けたいと考えている家庭も潜在的には多いかもしれませんね。「預けられるものなら預けたい」という。

我が家の場合も「0才で預けられるのなら預けたい」ですが、本当は「経済的に預けなくてもいいなら預けたくない」というよくわからない感じです。甲斐性なしで申し訳ない!

子供・子育て支援新制度

先程も少し触れましたが平成27年4月から始まった「子供・子育て支援新制度」は、消費税引き上げ分の7,000億円を財源にして「質」「量」の両面から子育てを支えることを目的に制定されたものです。代表的な施策としては…

認定こども園の普及促進

認定こども園とは幼稚園と保育所の機能や特徴を併せ持つ施設です。これまでの「働く親の子は保育園」「そうでない子は幼稚園」という区別なくどちらの家庭でも利用できます。そのうえで働く親の子供は必要な時間まで保育を同じ施設で受けることが出来るハイブリッドな施設ですね。この普及、促進を図ろうというものです。

先程の保育施設数のグラフでいうところの「幼稚園型認定こども園等」「幼保連携型認定こども園」という区分ですね。

地域型保育の新設

地域型保育とは保育所よりも少人数の規模で0~2歳の子どもを保育する事業です。具体的には以下の4施設に分類されます。

  1. 家庭的保育(保育ママ)・・・家庭的な雰囲気の中少人数(5人以下)を対象にきめ細かな保育を行う施設
  2. 小規模保育・・・少人数(定員6~19人)を対象に家庭的保育に近い雰囲気のもときめ細かい保育を行う施設
  3. 事業所内保育・・・会社の事業所の保育施設などで従業員の子供と地域の子供を一緒に保育する施設
  4. 居宅訪問型保育・・・障害・疾患などで個別のケアが必要な場合や、施設がなくなった地域で保育を維持する必要がある場合などに、保護者の自宅で1対1で保育を行うもの

こんな感じで特に不足している低年齢児の保育の受け皿を増やそうという取り組みです。こちらも先程のグラフでいうところの「特定地域型保育事業」の区分で、平成27年から増えていることが分かります。

「保育の必要性」認定制度

上記の施設や認可保育園を利用する場合には市区町村から認定を受ける必要があります。保育が必要と認定されるためには以下のいずれかの事由に該当する必要があります。

  1. 就労
  2. 妊娠・出産
  3. 保護者の疾病・障害
  4. 同居または長期入院している親族の介護・看護
  5. 災害復旧
  6. 求職活動
  7. 就学
  8. 虐待やDVの恐れがあること
  9. 育児休業取得中に、すでに保育を必要としている子がいて継続利用が必要であること
  10. その他、上記に類する状態として市町村が認める場合

普通に働こうとしていれば認定は受けられると思いますが、例えば我が家の住んでいる市区町村では就労を要件に認定を受けるために必要な書類として「勤務証明書」「勤務状況申告書」の提出が必要のようです。

また、求職活動を要件にする場合には「就職活動報告書」を提出書類として添付するよう求められているようです。

このあたりは各自治体によって違うと思いますので別途確認が必要だと思います。

さらに就労時間などに応じて「保育必要量」も決められます。最長11時間の「保育標準時間」最大8時間の「保育短時間」の2区分です。

これにより、認可保育施設を利用できる時間が個別に定められるんですね。原則的に認められた時間の範囲でしか保育施設を利用できないということですね。

また、保育の必要性認定は子どもの年齢や必要性の有無に応じて1号認定~3号認定までに分けられ、それぞれの区分に応じて利用できる施設が変わってきます。

内閣府の「子供・子育て支援新制度なるほどBOOK」にわかりやすいチャート表がありました。

http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/event/publicity/pdf/naruhodo_book_2804/a4_print.pdf

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こちらで見てみると、低年齢児(0~2歳)で保育の必要性がある場合には「3号認定」となり「保育所」「認定子ども園」「地域型保育」が利用できますね。

また、3~5歳の場合は保育の必要性がない場合には「1号認定」として利用できるのは「幼稚園」か「認定こども園」。保育の必要性がある場合には「2号認定」として「認定子ども園」か「保育所」が利用できます。

と、こんな感じですからまず自分の子供を保育施設に入れようと思ったらまずは市区町村に「認定」を受けられるようにする必要があります。認定申請の流れや必要書類はしっかりと確認し、準備しておく必要がありそうです。

でも認定を受けられたからといって、それだけで必ず保育施設を利用できるとは限らない訳で…

まるでイス取りゲーム

待機児童が存在する地域ではいくら保育の必要性が認定されたとしても、さらにそこから競争が発生します。限られたイスを奪い合うイス取りゲームです。

我が家の住んでいる自治体は前述したとおり日本でもトップクラスの待機児童数を誇るエリアですからこのままでは競争必死です。

僕は学生時代野球をやっていておしりが大きいので本当のイス取りゲームには絶対の自信を持っています。

しかしこのイスに座れるかどうかを決めるのは自治体です。残念ながら僕のおしりではない。応募状況をみてより優先順位の高い児童からそのイスを割り振っていく訳ですね。

じゃあ具体的にどうやって自治体が順番を決めているのかと言えば…

「保活」はポイント獲得競争

定員以上の申し込みがあった場合、それぞれの自治体がその優先順位を決めてふるいをかけていくことになりますが、多くの自治体が「利用調整指数」(名称は色々のようです)という考え方を用いてその順位づけを行っているようです。(認可外の施設は関係ありません。念のため)

例えば親の月当たりの勤務日数や勤務時間によって、付与する指数に差をつけたりしています。

月20日以上勤務し、7時間以上の勤務を常態・・・指数50

月20日以上勤務し、5時間以上7時間未満の勤務を常態・・・指数45

月16日以上勤務し、7時間以上の勤務を常態・・・指数40

月16日以上勤務し、5時間以上7時間未満の勤務を常態・・・指数35

上記は待機児童のメッカであるわが町の「基準指数」の一例で、居宅外の労働の場合です。これ以外にもっと細かく、「この場合には指数はいくつ」ということが決められています。

さらに「基準指数」に加えて「調整指数」というものがあり、例えば「生活保護世帯」は指数が+10、ひとり親世帯で同居の祖父母がいない場合も+10、逆に「同居の祖父母(60歳未満)が無職又は求職中の場合は-6、などなど、おかれている状況によって指数が加減算され、トータルの指数が多い家庭から優先的に保育施設へ入ることができるのです。

待機児童のいる地域において我が子を保育施設に入れるためには、他の家庭よりいかに指数という名のポイントを得られるかということが大事になっており、そのために就業のタイミングや祖父母の協力状況などを戦略的にコントロールするようなことが求められてしまってる現状があるんですね。

最近では我が子を保育園に入れるための活動は「保活」と呼ばれていて「就活」「婚活」などのように、かなりの労力を要するものとなってしまっています。

生まれた月、近隣施設の募集状況や年齢別の定員、そしてより高いポイントを得るにはどうすべきか、色々なことを考慮して動かなければなりません。

それでも願いがかなう保証がある訳ではないのです。運の要素も相当あるでしょう。

もちろん保育施設がもっと増えて、十分な定員数が確保できれば「保活」など必要なくなるんですが…。

仕事と子育ての形

子どもを保育園に預けることはどうも簡単ではないようです。いずれ我が家も保活の渦の中に巻き込まれるのかも知れません。

ただ一つ忘れないようにしたいのは、保育園に子供をあずけることがゴールでも目的でもないということです。なぜ子供を預ける必要があるのか、共働きをする必要があるのか、それぞれの家庭によって理由は色々だと思います。

最終的には子供をどう育てたいのか、そしてどう働きたいのか、ということであって、保育園に預けること自体はその手段のひとつでしかない訳です。現実的には保育園に預けるしか方法がないというケースが多いのでしょうが。

あまり「保育園に入れなければ」と意識を強く持ちすぎると、だんだんとこっちが目的になってしまいそうな気がします。自分の性格上の問題ですが。

子供の育て方も、仕事の仕方も、少しずつではありますが時代と共に色々な形が出てきています。子育てと仕事について、どういった形が考えられるのかは常に模索していく必要があるのかなと思います。

「保育園に入れるか入れないか」という単純なことだけではなく、どんな施設やサービス、働き方の組み合わせが考えられるのか。出来る限り選択肢を多くもっていられるようにしなければ「保活」の渦で溺死する確率が高くなりそうです。うーん、怖いなー。

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